(夢)日記

三日坊主克服!三日坊主克服!ウワアア!

[夢日記]登山

「登山」

どうやら、山登りをしているらしかった。
私らしき女は、ピンク色の帽子を被り、山吹色のトレッキングシューズを履いて、人気のない山道を杖をお供にして登っていた。天気は快晴。雲一つない青空が眩しい。空気は澄んでいる。細い山道の下には松林が広がっており、私は一つにくくった髪を春風に靡かせながら、その景色を眺めた。私以外に人の気配はなかった。
しばらくして、満足したのか、私は再び歩きはじめる。山は大粒の砂と土でできていて、私が歩くとザクザク音を立てた。道は山に沿って螺旋状になっていて、見通しはあまりよくなかった。酔いやすい体質の私はすっかり気分を悪くしながらも、なんとか登っていった。途中、おじいさんとすれ違った。大きな鳥が松の枝に止まり、私をじっと見つめていた。
山頂に近づくにつれて、螺旋の渦巻き具合がひどくなった。私はもう吐きそうなほど酔っていた。ぐるぐるぐるぐる回りながら上へと向かっていくが、あまりにも渦を巻きすぎたのか、とうとう私の体は回転し始めた。高速で回転したことで竜巻が起こった。私は竜巻の中心になった。どうしていいのか分からず、棒立ちのまま回転する。ピンク色の登山用の帽子が巻き上げられて青空に消えていった。リュックサックも消えていった。手袋と杖と靴と靴下も消えていった。竜巻が治まったときには、私は身につけていた色々なものを失くしてしまっていた。だが、私はある看板を見つける。立て札と言った方がいいかもしれないような木製のそれには、力強い筆跡で「山頂」と書かれていた。山頂だ、と私は思った。その場で雪見だいふくのようなもちもちの球状の吐瀉物を吐きながら、私は喜びを噛み締めた。
振り返ると、丸太でできた休憩用のテーブルがあった。テーブルの上でモルモットの顔をしたハムスターが鼻をひくひくと動かしているのが見え、私は裸足のままテーブルに近づいた。
ハムスターは小さな赤い飛行機のオモチャを持っていた。私が近づくとオモチャを粉々に破壊してさっさと逃げてしまったので、私はオモチャの残骸を眺めながら、言いようのない悲しみに襲われた。テーブルに座って膝に手を置き、黙って辺りを見まわした。赤い飛行機の残骸は風に攫われて消えていった。私は孤独感に苛まれ、膝に手を置いたまま少し泣いた。
ベンチに横になり、膝を抱えて夜を明かした。星がよく見えて初めは嬉しかったが、眠るのには明るすぎて最後には私はただただ怒っていた。日中に吐いた雪見だいふく状の吐瀉物が土の上にぽつんと落ちているのがあまりにもシュールで、いじらしく、私は声を出さずに笑った。
目覚めると、そこは自宅近くの公園のベンチだった。山ではなくなっていた。体を起こし、水道で頭を洗っていると、子供がやってきた。「何してんの」と小馬鹿にした様子だった。私が無視し続けると、子供は切り餅を私に手渡してどこかへ去っていった。なぜ切り餅? と不思議に思いつつ、切り餅をポケットに入れ、私は家に帰ることにした。
いつの間にか山吹色のトレッキングシューズや帽子が戻ってきていた。スキップをしながら住宅街を歩いた。
やがて私の背中は霧の中に消えていった。

2021/10/25